二人の手紙読みました。
カフェの件なんだけどね。ちょっと色々考えたんで手紙にまとめてみました。

まず、お父さんの手紙を見て。
単刀直入にいうけど、やっぱりカフェは向いていない気がする。

まずは図面を見て思ったこと。あれでは、カフェ運営できないよ。狭すぎる。
カフェどころか、事務所を構えるための空間としてすら機能しないと思うよ。

カフェって、美味しいコーヒーやケーキとかに目が行きがちだけど、
実は「空間」を提供するサービス。
あの狭さでは、カフェをやってみたところで誰も集まらないと思う。

「パーソナルスペース」って言って、人が居心地の良さを実感する他人との物理的距離があるんだけど、
あれでは、十分なパーソナルスペースが確保できないよ。

そういったことって知識的なことじゃなくて、「感覚」で察知するものなんだよね。
カフェ・喫茶店経営する人はそのあたりの感覚が普通の人よりも鋭い人がやるものだと思うよ。
だから、個人のカフェ経営者を見ていると神経過敏な感じの人が多い。
これは人のタイプの話で、誰でも向き・不向きがあるもんだけど、お父さんは「カフェ経営のタイプではない」と改めて思った。

それにその辺の「感覚」の話だけじゃなくてね。
カフェに限らず、自分のお店を経営する人って「自分なりの他人(大人)との距離の取り方」を固めている人がやるものだと思う。

例えば、カフェで客同士が小競り合いになったとするでしょ。
そのとき、お父さんは積極的に中に入って仲裁するタイプと思う。

「はい、Aさんの言い分はこうね。Bさんはこうね。それはBさんが悪いね。Bさん、そこは謝りましょうよ。」
って具合にね。

本来、人と接するってそういうことだと思うし、人の行動として正しいかどうかで言ったら「正しい」と思う。

でも、カフェ店員のそういう行動は、客にとっては邪魔になるだけ。
ケンカの事情に必要以上に首を突っ込まず、「お店のことだけ」を考えて
その場を治めるのに終始するのがお店運営者としては正しい対処法なんだと思う。

そして、そういう対処をする運営者の真意は「自分の愛する空間を壊されたくない」なんだと思う。
他人の事情や真意なんて、極論を言ってしまえばどうでもいいんだよ。愛する仕事・空間を守るのが何よりの優先事項。

だから、コーヒーはもちろん、ディスプレイや食器、カフェで流すBGMとか細部までこだわる。
そういう人がカフェを運営することが天分の人の特性だと思う。

お父さんは、そういった「カフェへのこだわり」が自分の中に生まれると思う?

もちろん、そういうこだわりが生まれなくても「実質上」のカフェ経営はできると思う。
でも、それが楽しいって思えるのかなぁ。

それに、他人の真意を汲まず、形式的にその場を対処するような他人との接し方を体得する気、ある?

相手の真意は正確に認識しつつも、自分にとって都合が悪くならないように対処する。
大人と接するってそういうことだと思う。

こういうスキルって、若いうちは体得したほうがいいものだと思う。
でも、お父さんの年齢になって、わざわざ向き合うようなものではないと思うよ。

それに、そういう「上っ面のコミュニケーション」が生理的に嫌だったこともあって、
教員になったところもあるんじゃない?

子供は、むしろ上っ面抜きに真っ直ぐに向き合う必要があって、子供にもそういう大人こそ大切だからね。

お父さん「地域住民の憩いの場づくりのため」って言ってたね。
大義名分の響きとしては素晴らしいと思う。
仮に経営塾だったら「素晴らしいですね!」って評価される話だと思う。

でも事業運営者にとって事業を継続させていく上で一番重要なのって実はこういった大義名分じゃないんだよね。
知ってた?

じゃあ何が大事かっていうと「自分の中の生理的なことを見抜いて尊重すること」なんだよね。

20代のころ、いろんな経営者に会ったけど、みんな「理念・理想(大義名分)が大事」っていってた。
若かったから、言葉を額面通りに受け取って、そういうものを見出さなきゃいけないんだって思ってた時期があった。
でも、真実は違うんだよ。

事業運営者にとって、一番大事なのは「生理的に好きなことを選ぶこと」。
生理的に好きなものを選択して、嫌いなものにできるだけ触れない環境づくりができれば、それだけで経営は往々にうまくいくもんなんだと思う。

それを自分をきれいに見せたい(見せるのがうまい)経営者は、さも「立派な理想」がモチベーションの根源みたいに言うけど、
結局、それだって「自分をよく見せたい」って生理的欲求に従っての行動なんだよ。

お父さんの「地域貢献」も、ちょっと後付けじゃないかい?

カフェに来る同世代、それ以上の年代の人なんて、ろくなもんじゃないひとが大半だよ?
みんな、お父さんが嫌いであろう社交辞令や形跡的なコミュニケーションを武器にこれまで生き抜いてきたタヌキばかりだからね。

どういう理屈かわからないけど、自分を正当化することだけは達者。
そういう地域住民に対して、献身的になれる?

まだまだ書けるけど、カフェ経営をあまりお勧めしないのはそういう理由。

それに「カフェを始めて、もし思うようにいかなかったら別の用途を考える」って言ってたけど、
仮にそうなったとき、別のことを始める気力を振り絞れるかな?

最近、ようやく自分に最適な身体のメンテナンス方法が分かってきて、時計が進み始めた感じがしている優一郎ですが、
ここ数年、体調が不安定な期間が続いて本当に苦しかったです。
体調だけでなく、着手することがすべてうまくいかず、その度に新たな手法を模索してきました。

この経験で得た教訓。それは「失敗を経験した人が再起をかけることには、多大な気力を要する」ってこと。

体力がなくなってくると、それが気力の量にも比例するからなおさら。
理屈ではうまくいくって算段があっても、「気持ち」がついていかない。

気力・体力に限度がある状態の人が生き方についての選択をする際には「将来の自分のため」に
周りの意見を参考にしながら、慎重に判断をしていかないといけないと思う。

だから、お父さんにはもう少し時間をかけながら、色んな選択肢を模索してほしいと思ってる。

まさに「就活中の子供を持つ親の心境」です。
無駄な道、辛い道を歩んでほしくない。
若いうちの挫折は「財産」。だけど、老いてからの挫折はただの「災難」です。

ここからは提案の話です。
色々考えたんだけど、「優一郎と一緒に学習塾を開業する」っていうのはどうだろう?

漠然とした話だから、簡単に書くよ。
まず、調べた結果、好要素が2つ見つかりました。

一つ目は、定年退職者の起業支援の補助金制度が色々あるってこと。
国や市でやってるのもあるし、銀行(例 七十七銀行)が打ち出しているものもあるみたい。

また、そういう補助金についてのサポートを社会保険労務士がやっているサービスもあるみたい。
「仙台補助金センター」で検索してみて。他にもあると思うし。

2つ目は、学習塾の開業を支援するサービスがあること。
前回の学習塾開業の際にお父さんが悩んだことを解決するためのサービスをパッケージにして商品にしている企業があるみたい。
「開業塾『すらら』」で検索してみて。

ここは資金の調達、物件選びから集客、教材の選定までサポートしてくれるみたいだよ。
月会費3万円で1年後に解約可能だって。こういうサービス受けるのもアリだと思う。

今、お父さんみたいな状況下にいる人いっぱいいるから、その分実は精度やサービスも充実しているんだよ。
そういったことを踏まえて将来設計しないと絶対に損です。

で、優一郎からの提案。

まずは、さっきの助成金を通過してもらって、事業資金として100万円を調達(できれば200万円)。

それが実現したら、優一郎が毎週1日仙台に通うよ。
新幹線往復2万円×53週=106万円/年

そしたら、場所探しから集客までいろいろ率先して動くよ。

塾は週2回の授業体制で開始。
授業が始まったら、しばらくは週2で仙台通いして、授業中は事務員として教室の後ろで自分の作業してるようにするよ。
生徒や保護者の特性や事業が板についてきたら一人で運営していく感じで。

新幹線での移動はリフレッシュになるので、移動ができるのは、むしろ発想が沸いてありがたい。

まぁ、これは一提案だからね。この通りにしろって話ではなく参考までに。

最後に。
お父さんにとっての「子供と接する」ということ。
これ、もっと大事に扱った方がいいと思う。

今はあまり好ましくない環境の中に身を置いているが故に、
ザベリオの頃と比べて少し「子供に接すること」への考えが変わっているのかもしれない。

でも、さっきも言ったように生理的なものってすごく大事で、お父さんは教師としての仕事がそれに合致していたんだと思う。

私立という枠の外の子供たちや父兄との接触はなかなか刺激的だったところもあると思う。
だけど、子供そのものの本質は公立も私立も変わらないはず。

それに、今は「学童児童の預かり」っていう枠の中での仕事だから本領を発揮できないだろうけど、
「塾」という枠さえ確保してしまえば、思うような教育をきちんと実践できるかと。

それでもやんちゃな子供や保護者がいたら、優一郎が後ろからにらみ聞かせればいいだけの話だし笑

とにかく、「仕事として成立しているものの中に、自分が合うと思えるものが見つかったこと」をもっと重宝してほしい。
これって、なかなか難しいことです。

それに、これまでの長い人生の中で、それ以外に好きなことが見つからなかったってことは、
教育への思いの強さとともに、「身の回りの物事があまり心に響かない」という特性なんだと思う。

その辺は、優一郎も遺伝子を受け継いでいるからよくわかります。
それでも最近、優一郎は「料理」が好きです。
これは、民をはじめ舘岩の血かなぁ。

それは特性。一長一短。いいことでも悪いことでもない。単なる特性。人によって異なるもんなの。
それで、お父さんはそういう特性を持っている訳だから、
新たなことを模索するより、今まで見つけたものを軸に環境を整える方が
穏やかな心持でこれからを過ごせるのではないかと思わない?

長くなりました。
一度、2人で東京に来てみない?
カフェ経営がこういうものだというものを見せるべく、お気に入りのカフェ2箇所に連れていきたいです。
上記の内容についても会って話したいし。

言っておくけど、家に通すつもりはありません笑
勝手に想像を膨らませる前に予め言っておきます(特に明子が)
では、諸々是非ご検討を。

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